2008年 08月 29日

その⑦ 自由に遊べない

7月末川崎市からさいたま市へ引っ越した。この引っ越しは息子にとって大変な出来事だった。もちろん私も予防線を張ってはいた。色々対策したつもりだった。しかし息子が受けたショックは私の予想をはるかに越えていた。
住環境がガラリと変わったことはもちろん、荷物の片付け等に忙しい私のいつもと違う様子も息子にはストレスだったことだろうと思う。でも息子が一番戸惑ったのは保育園だった。新しい保育園に慣れてもらおうと、入園前の面接には片道2時間かけて息子を連れて行ったし、引っ越し後は毎日保育園を見に連れて行った。「8月からここの保育園の子になるんだよ」と何十回も言い聞かせた。息子も理解したように見えた。
しかし息子はその保育園に馴染めなかった。教室に入っていくことができなかった。門の前の階段にただ座って私が迎えに行くのを待っていた息子。何時間も座って待っていた息子。
そして家に帰ると何でもないことで癇癪ヒステリーを起こし、笑顔は日に日に消え、ごはんもほとんど食べなくなった。物をキレイ一列に並べるという独特の行動も久しぶりに復活した。どんどんストレスを溜め込んでいく息子。そしてわずか1週間で高熱でダウンしてしまった。

違う保育園に通うということは理解していた息子。でも、以前通っていた保育園とガラリと雰囲気の違う保育園だということは予想外だったのだ。ビルの一室という狭さの無認可保育園。小さいけどアットホームだった保育園。それが大きな園庭があり、たくさんの教室の並ぶ保育園に変わった。子供達を退屈させないようにビッチリと詰まっていたカリキュラム。傍から見ていても目が回る程次から次へと・・・。ところが今度の保育園は子供達を自由に遊ばせる時間がほとんど。子供は子供らしくのびのびと。
これが息子には出来なかった。

アスペルガーの子供は「スケジュールが決まっていないと苦痛を感じる」という特徴があるとは知っていた。「曖昧な指示」では理解できないことも知っていた。「同年齢の子供との遊びが苦手」なのも知っていた。知っていたけど気付いてやれなかった。
息子にとって「自由に遊んでいい」なんて曖昧すぎて分からなかったかも知れない。
もともと他の子と遊ぶのは苦手なのに「あっちでみんなと遊ぼう」などと言われて困ったことだろう。一日の大半が自由時間というのにも困惑したに違いない。
何をしていいか分からないし、誰も具体的に指示をしてくれない。息子にはただ座って母親を待つ以外にすることがなかったのだ。
息子は息子なりに一生懸命だったと思う。ママが仕事に行かなくてはいけないと知っているから、保育園に行くことを拒みはしなかった。でも何もすることがないからただ座ってママの帰りを待っていたのだ。

今更ではあるが川崎で通っていたのと同じような保育園を探した。カリキュラムが詰まってて自由に遊ぶ時間などほとんどない保育園。保育園というよりは大きな一軒家のような造りの建物に、さまざまな年齢の子供達。前の保育園にかなり近い。先生達の持つ雰囲気も前の保育園と同じだ。
息子はこの保育園なら大丈夫だと自分から言った。そして癇癪ヒステリーも収まり、ごはんも食べるようになった。
自分にあった居場所を見つけるってとても大切なことなんだと知った。安心できる居場所があれば息子は障害児ではないことも分かった。息子が障害児かどうかは環境で決まるのだ。そう考えるとズシリと重たい石が心臓に乗っかったような気持ちがした。
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by xiaozhuzhu | 2008-08-29 01:41 | 未来のエジソン君


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